歯周病とは
歯周病とは?
歯周病について説明する前に、歯の周りの構造を知る必要があります。
歯には頭の部分(歯冠)と根の部分(歯根)があり、表面から見えるのは歯冠の部分です。
根の表面には、セメント質があり、歯根膜と呼ばれる繊維を介して周囲の骨(歯槽骨)に支えられています。
健康な方のレントゲン写真です。
レントゲンでは硬いものが白くみえます。
歯は、黄色い線で示された骨にしっかりと支えられているのがわかります。
一方、歯周病は、
「歯周疾患ともよばれ、歯肉、セメント質、歯根膜および歯槽骨よりなる歯周組織に起こるすべての疾患である」
と定義されています。
日本歯周病学会 歯周病の診断と治療の指針2007より
具体的に説明しますと、歯周病は、歯茎からの出血があり、一時的に歯茎の痛みや腫れを感じるものの、自覚症状の乏しい病気です。ですから、「沈黙の病気」とも言われています。放っておくと症状が治まるという経過を繰り返しながら歯周組織の破壊がゆっくりと進行し、結果的に歯を支えている骨が次第に失われていきます。やがて、歯の動揺や移動が生じ、この段階で多くの方が異変に気付きます。
歯周病の特徴としては
• 罹患率が高い(歯の喪失原因の第一位)
• 咬み合わせが大きく関与する
• 喫煙、ストレスといった環境因子に影響を受ける
• 進行するまで症状が少ない
• 歯周病が進行すると食事に支障をきたし、QOL(生活の質)に影響する
といった事が挙げられ、歯周病が進行し重症化する前に、適切な診査、診断、治療が必要となります。
診査の際に、最も重要なのは、レントゲンやCTによって、歯を支えている骨の状態を把握することです。
以下に例を示します。
例1
歯が喪失している箇所はいくつかあり、炎症、腫脹はあるものの、外見から骨の状態は分かりません。
これは、この患者様のレントゲン写真です。
黄色の線が歯を支えている骨のラインです。歯周病にかかっていない方のレントゲンに比べ、歯を支えている骨が少ないのがわかります。
外見からの判断は出来ませんが、レントゲン写真によって、歯周病の進行が確認できます。
さらに、CTによって、骨の状態を3次元的に把握でき、より的確な診査・診断が可能となります。
例2
一見、問題のない歯茎に見えますが、器具が歯と歯茎の間に深く入ります。
レントゲン写真では、骨の吸収が予測できます。
実際に、歯茎を開いてみると、大きく骨が減っているのが確認できます。
例3
左の写真では、歯茎の状態は問題なさそうにみえますが、レントゲン写真では、骨の吸収が予測できます。
実際に、歯茎を開いてみると、大きく骨が減っているのが確認できます。
では、なぜ、歯周病になると、このように歯を支えている骨が破壊されていくのでしょうか。
それは、プラーク(歯垢)に由来します。多くの方が、プラークは食物の残渣であると、お考えのようですが、プラーク1mgの中には10億〜100億の微生物が存在すると言われています。つまり、プラーク(歯垢)=細菌の塊なのです。
ブラッシングが不十分な場合、適度な温度、湿度のある口腔内では、細菌の増殖が活発に行われ、骨が破壊されていきます。
口腔内から採取したプラークの顕微鏡像:細長く見えるものが細菌です。
これら細菌が歯と歯茎の間の歯周ポケットとよばれる溝から侵入し、骨を破壊します。
この細菌の塊であるプラーク(歯垢)が石灰化したものが歯石で、一旦、歯茎の奥深くに付着した歯石の完全な除去は困難となるため、早い段階での歯周病への対応が重要になります。
当院では、治療に先立ち、「なぜ、このような状況になったのか」という事を踏まえ、原因除去療法を第一に行なっていきます。
一方、痛い、腫れた等の困った症状に対してのみの治療は、対症療法と呼ばれますが、対症療法の場合、原因の除去が不十分なため、再発の可能性が残ります。
歯周病に関していえば、プラーク(歯垢)と呼ばれる細菌の塊が原因です。
この細菌を取り除く事が、原因除去ですので、歯磨き(プラークコントロール)が重要になってきます。
多くの方が、歯磨きは毎日行われています。しかし、歯周病はなくなりません。
そこで、「歯を磨いている」のと「歯を磨けている」のは違うということを十分に認識していただく事が必要となってきます。
当院では、歯周病治療に際し、先ず、ブラッシング指導、歯石除去、プロフェッショナルクリーニング等で原因の除去を行った上で、必要に応じて、歯周外科・再生療法を行っていきます。
歯周病の脅威

私たちの口の中には、無数の微生物がすみついています。その数は、健康な人の場合でも約300種類2億個とも言われています。これらは、周りの環境に応じて悪玉になったり善玉になったりしています。
歯ミガキを怠ると、悪玉微生物が増加し、虫歯や歯周病を引き起こします。これら悪玉微生物やそれらがつくりだす毒素(炎症性サイトカイン)が体の中に入り込み全身の臓器へ運ばれ、上記に表示されている全身の疾患につながります。
歯周病は適切な処置によりコントロールが可能です。歯周病を治療する事により糖尿病をはじめとする生活習慣病の改善につながると考えれます。